とある小さなまちに ねこがいました

ねこはとっても はたらきもの

おうちでまつ ごしゅじんさまのために

せっせせっせと おつかいをしていました

「ねこさんねこさん」

とおくの国からきた とりたちが

声をかけてきました

「足に糸が からまっているよ」

この糸は ごしゅじんさまからもらった

たいせつな おまもりなのと 

小さなこえで つぶやいて

ねこはそのまま あるいていきました

ある日のよるも

おつかいねこは いつもどおり

せっせせっせと あるいていました

「ねこさんねこさん」

おつきさまが ねこに声をかけてきました

「ごらん きょうはとびきり星がきれいだよ」

けれどもねこは うつむいたまま

あるいていってしまいました

その足は けがをしていたけれど

ねこはきづいていませんでした

そのつぎの日もまた

おつかいねこは いつもどおり

せっせせっせと あるいていました

「ねこさんねこさん」

声をかけてきたのは アリさんたちです

「どうしてそんなにがんばっているの?」

ねこは だれにもきこえないように

小さなためいきをついたら

またあるきだしました。

足のけがは ひどくなっていました

そしてある日のこと

おつかいねこは とってもいそいでいました

足の糸は どんどん からまって

けがは どんどん ひどくなっていました

「ねこさんねこさん」

声をかけてきたのはピエロ人形でした

「とってもかわいそうなねこさん」

かわいそう???

ねこはおどろいて

おまもりの糸を ぎゅっとにぎりました

「おやおや かわいそうなねこさん

 その糸を きってあげましょう」

チョキン!

ねこはとまどいながら

糸がなくなった足を みつめていました

「だいじょうぶ 

 これはおまもりなんかじゃない

 ただの糸だったんだよ」

「もう、かえらなくていい

 どこにいってもいい

 どこにいかなくてもいい

 きみのあるきたいみちを あるくんだ」

ねこはとまどいながら 木にのぼりました

なんども なんども あるいていたのに

その木にのぼるのは はじめてでした

ねこはとってもうれしそうでした

そして、ある日のこと「ねこさんねこさん」

おきにいりの とけい台の上で

ひなたぼっこをしているねこに、

ふるさとにかえる とりたちが声をかけました

「ねこさんねこさん

ぼくたちのまちに あそびにきてね」

それからねこは、

とってもたのしそうに

ピエロのもとへ あそびにいきました